校庭


中学生の時に体験した話です。

当時仲のよかった女の子と犬の散歩に出かけました。

季節は覚えていませんが、夕暮れを過ぎて夕闇に包まれていました。

車の少ない道を通り、二人が通っていた小学校に行きました。

校庭脇の一段高くなった所にある遊具の前に腰掛けて話をしていました。

すると、うろうろと落ち着きのなかった犬が校庭の遥か向こうの闇を

凝視して動かなくなりました。別段そのことを気にしてたわけではないのですが

見るともなしにその方向に視線を移すと、ゆっくりとしたスピードで近づいてくる自転車が見えました。

誰かこっちに来るなぁと思いましたが、だんだんとこちらに向かってくる姿を

目で追っていると異変に気がつきました。

まず、何も音がしないのです。ペダルをこぐ音も土をけるタイヤの音もしていません。

そして、灯の全くない暗闇なのに自転車と人の姿が見えるのです。

まるで蛍が光るように全体が緑色にボーッと光って輪郭が浮かび上がっているのです。

不思議な光景に言葉を失くした私達は、遊具の影に隠れるように後ずさりしました。

私達から10メートル程離れたところで立ち止まると、放るように自転車を離れました。

自転車はスロー再生のようにゆっくりと横倒しになりました。

全身を緑色に包まれたその人は、私達に気づいているのかどうか分かりませんが

こちらを気にすることもなく歩いて行きます。

学校の敷地に隣接した空き地があるのですが、境目には溝が掘ってありました。

深さが1メートル近くあり、幅も相当あります。一度溝に降りてまた上がるとすると

かなり大きな動作になりますし、飛び越えるにしても勢いをつけないと超えられないのですが

まるでそこに溝が存在しないように歩いていきます。

そして、生徒が空き地を近道にすることを防止するために鉄条網で柵が作ってあるのですが

それすらもすり抜けるように通り抜けて闇に消えて行き、同時に自転車も消えてなくなりました。

この間どのくらいの時間だったのかハッキリしませんが、ほんの数十秒の出来事だったと思います。

後を追ってみようなんて勇気もなく逃げるようにして帰りました。

その時の光景は今も鮮明に覚えていますが、緑色に光っていたことは記憶にあっても

男性か女性か、年齢はどのくらいに見えたのかはハッキリしません。

この小学校に通っていた時に心霊の噂を聞いたことはありませんでした。

とても不思議な出来事でした。

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