おいで、おいで


 以前は24時間営業だったガソリンスタンド。

深夜に中年の男性が一人店番をしていました。

夜、行動する時によく利用していて顔なじみになっていました。

ある時、「どこかお化けの出る所ってありませんか?」と聞くと、

「それなら町内のキャンプ場だな」と教えてくれました。

「でもな、俺はその人が生きてる時に会ってるんだよな・・・」と。 

これは、幽霊の素性が分かっているというお話です。 


お客もひけて、イスに座って退屈してる時だった。

国道をフラフラと千鳥足で歩いてくる男性が見えたんだ。

かなり酔っているらしく足元がおぼつかなくて「危ないなぁ」と思った。

その男性は店の前まで来ると俺に気がついたのか近づいてきたんだ。

「すいませんが、ここはどこでしょうか?」「ここは○○町の○○ですよ」と答えた。 

尋ねて見ると同じ町内に住んでいる人だった。イスに座らせて話を聞いてみると

飲み屋で飲んでいたらしいが、それから後どこを通ってここにいるのか記憶がないらしい。

確かに飲み屋街とは遠く離れている。

名前と電話番号を聞いて家族に迎えに来てもらい彼は帰って行った。


それから数日後にも彼が国道をフラフラと歩いているのに気づいた。

しかし、その時は通り過ぎて行った。

方向が自宅の方だったから、今日はしっかりしてるのかと声もかけずに見送ったんだ。

それから幾日も経たないうちに彼が橋から飛び降りて自殺したという話を聞いた。

数日前に生きている彼を見たばかりの俺は正直気持ちのいい話じゃなかった。


○○キャンプ場にお化けが出るという噂話を客から聞いたのはすぐのことだった。

キャンプ場に行く道沿いに小さな橋がかかっている。

この橋を夜通ると、白い服を着た男の霊が両脇に子供を連れて「おいで、おいで」と手を振ると。


その橋こそ、彼が死んだ場所だった。

橋の中ほどから真下を見ると、大きな岩が突き出している。

仕事で悩んでいた彼は、子供を道連れにこの岩に向かって飛び降りた。

彼らは入水したのではなく、その岩で砕け散って亡くなったんだ。


この話を聞いた私達は

軽はずみに行く気にはなれなかった。

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